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感想/サウンドトラック(文庫)
感想/サウンドトラック(文庫)_d0055469_2515673.jpg感想/サウンドトラック(文庫)_d0055469_252756.jpgとんでもない東京ハードボイルド! 『サウンドトラック』(文庫)上下巻読了。なんの因果か無人島に流れ着いたトウタとヒツジコ。天涯孤独な2人はやがて小笠原諸島へと引き取られ、さらにはヒートアイランドと化した東京に流れ着く。一切の音を受け付けないトウタと、踊りで世界を揺るがせるヒツジコ。2人の到達点はどこに。

『gift』を読んでただならぬ気配を感じさせた古川日出男を「ナツイチ」に乗じて再び。いやーコレもヤバかった。強烈。暴力的なのに繊細な言葉遣い。この瞬発力は天才的といって差し支えないのでは。日本語とカタカナ言葉を巧みにミックスしたフレーズ、センテンスは好みがわかれるかもしれないけど、オレみたいな言葉奏者(ワードコーディネーター)<例えばこんな感じね にはたまんなく魅力的! 

シュールすぎるけど、どこかありえそうな世界観。ヒートアイランドとなって冬のなくなった東京。移民たちであふれかえる神楽坂。純日本人たちが固持する西荻窪。怖いもの見たさにも近い気持ちで読み進めちまったわ。そして敵はカラスだもんね。

第3者視点のためトウタとヒツジコの生態および思考回路は全然わからぶえ。そこがまたミステリアスで惹かれるんだが、キャラ的にトウタよりヒツジコのほうがクールなんだよね。物語はどんどん加速して膨張してもうムリ!? ってところで終焉(フィナーレ)を迎える。最終的に収集はついてなく、投げっぱなしはズルイ。ヒツジコが魅力的すぎて、トウタとのバランスが悪い。だから瞬発力のわりに流れは少しぎこちない。なんだったんだ!?って感じもある。

けれど、それでもやっぱりこの超人的なパワーには魅力があるのだよ。とんでもない作家がいたもんだな。かなりアクが強いから万人ウケするタイプではないだろうが、古川日出男に要注意(アテンションプリーズ)!

てことで、昨日のYUKIにデジャヴを覚えたのは、このヒツジコでした。(ポジティブな)オブセッション感じたもの!
by april_foop | 2007-11-03 00:00
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