感想/ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー―(文庫)
d0055469_11105141.jpg東野圭吾「ブルータスの心臓」。氏の作品の中でもあんま有名じゃないのかな? ってことで期待値低めだったけどカナーリおもろかったよ、と。

出だしにロボットが登場する時点ですでに東野臭全開。この段階ですでに引き込まれてる自分。屈折したエリート主人公・末永も、いかにも作者が好きそうなキャラ。で、こいつがある殺人計画の一端を担うことに。が、計画は意外な破綻を迎えつつ展開し、第二、第三の殺人が引き起こされる、って感じの本格派ミステリ。

このお話、殺人の共犯者である末永自身が、自らの保身のために不可解な事件の謎解きをしていくという構成が面白い。犯人であり探偵役。いまどきそんなに珍しくもないか。でも面白い。主人公でありながら大義名分なし。あるのは利己主義のみ。そんなシニカルな設定の中に、人間と機械のあり方、生まれながらの階級や身分の違い、エリートと非エリート、といったさまざまな要素を思わせぶりに絡み合わせる手腕はお見事。社会派ミステリ作家らしい仕上がりですわ。

ラストシーンは皮肉たっぷり強烈なインパクト。すべてが終わった後を想像すると胸が痛いですが、一気に読める秀作でした。アッパレ。
[PR]
by april_foop | 2006-02-15 00:00 | 文字
<< ふたりのアオイ 【第一夜】宮崎あおい アイコのくれたもの >>