タグ:東野圭吾 ( 61 ) タグの人気記事
感想/さいえんす?(文庫)
d0055469_3594563.jpgで、もういっちょ『さいえんす?』読了。出版、プロ野球、ダイエット、理系文系、血液型、記憶、環境などなど、さまざまな時事ネタに東野圭吾が切り込んだ!

理系作家といわれる氏だけに、さぞそういう話を突っ込んでくるんだろうと思ったら、意外とそんなでもなかったかも。もっとも、話題の幅こそ数学からスポーツ、はたまた環境問題まで、科学とは直接関係ないところまで及んでおきながら、ロジックの展開の仕方というか、氏の思考回路はやっぱり理にかなってるんだよね。

お固い話題は少ないのでこれもとっつきやすく、さらっと読了できます。でも、単に起きている現象に対して文句をいうのではなく、なにかしら氏なりの解決えの道筋や、自身の明確な考えを示せているところがすごく立派。こういうのって、ついただツッコムだけで終わっちゃったりするもんじゃない?

小説からそこはかとなく感じられる氏の個性が、より色濃く感じられて、ファンは必読の書かも。理系文系の壁を越えたからこその役割を自認しているところとか、作家として出版界に抱く想いなんかには、刺激を受けましたわ。頭はさほど使わないので軽いリラックスタイムにどうぞ。
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by april_foop | 2008-03-24 00:00 | 文字
感想/ちゃれんじ?(文庫)
d0055469_356051.jpgほい。東野センセーのエッセイ2発をこのたびようやく読了。まずは『ちゃれんじ?』。東野圭吾がめざめたスノーボード。彼がいかにボードにハマり、そしていかにボードと付き合っていったかを語ってます。

エッセイになっても、東野圭吾の読ませる力は少しも目減りしないんだね。同じくスノーボードにハマった経験を持つものとしてものすごーく共感しながら読めたよ。そうそう、あの年は雪が降らなくてね、とか。確かに中越地震の年は気をもんだよね、とか。完全にシンクロするわ。

そして、氏のいうとおり、なににこんなにハマるのか、ってところで「この年齢になって普段あまり感じることのない上達を確実に実感できる」こと。コレに尽きるよね。オレもボードにハマったときは平日単身ゲレンデに乗り込んでリフトの動く限り滑りまくったもん。オレが最近マラソンにめざめたのだって、要はこれと同じなわけ。多分、どんなに走っても少しも成長が期待できないってんじゃー、夜な夜な走ったりしなかったと思うもんな。

エッセイにボード題材の小説も交えつつ、さらにはカーリングへの挑戦なんてのも目先が変わって楽しめたわ。こういうアスリート的(?)な感覚を持っているセンセーが大好きです。そして、氏のボード姿、すげーサマになってるな。しかし読むのが遅かった! すでにシーズンは最終盤。。どうしよ、4月にでも滑り納めに行こうかな。
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by april_foop | 2008-03-23 00:00 | 文字
感想/流星の絆(単行本)
d0055469_22142338.jpg帯がオーバーすぎるんだよね。東野圭吾大先生最新刊『流星の絆』読了。ハヤシライスが大評判の洋食店「アリアケ」で殺人事件が起こった。事件が迷宮入りしたまま、遺された3兄弟は悲しみを胸に成長。彼らなりに社会を見てきた結果、3人は詐欺行為を働くようになる。時効成立も間近なそんなとき、両親を殺害したと思しき人物を目撃し…。
講談社BOOK倶楽部:流星の絆

んー、面白くなかったことはないけど、いまひとつだったかなー。物語のポイントは2つ。まずは事件の真相。フーダニットでワイダニットなところだけど、なんかいまいち釈然としない真相だったな。誰がの部分はまあおいとくにしても、動機がちょっと弱かったなー。でも実際、殺人事件てそんなものなのかもしれないか。まあ、事件そのものよりも次のポイントの方がこの小説においては重要かな。

第2ポイントは、兄弟たちの成長。どうにも今回はキャラクターが弱かった! 立ってることは立ってるんだけど、今ひとつ魅力に欠けているし、事件からの15年間を感じさせるものがあまりにも少なかった気が。説明はあるんだけど、それと現在を結びつけて想像させるだけの力はなかったなー。だから、3人の行動がただ浅はかなだけに思えて、3人の結びつきって意味でも弱く思えたわ。さらにいえばタイトルもちょっと浮き気味。

相変わらず一気に読めちゃうし、そんじょの作家よりは面白いんだろうけど、すでに傑作を何本も生んでる氏だけに、必然的に期待も大きくなりますな。次も楽しみにしてます。
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by april_foop | 2008-03-19 00:00 | 文字
感想/使命と魂のリミット(単行本)
d0055469_2343071.jpg東野圭吾『使命と魂のリミット』読了。研修医の氷室夕紀が勤める病院にアリマ自動車社長・島原が入院。彼のオペを担当する西園は、かつて夕紀の父親の同じ病の手術を手がけ、そして失敗していた。そこに「医療ミスを公表しなければ病院を破壊する」という謎の脅迫状が届く。送り主の狙いは、島原だった。

すごく面白かったぜ! 「使命」という言葉によって、職業人としての意識と責任を掘り下げた一作。例のごとく冴え渡った筆致によって痛快なまでにその哲学を突きつける東野センセー。職業人に求められるもの、それはプロ意識であり、患者なりカスタマーなりへの最大限の誠意であり、と同時に自分の人生にしっかりと向き合うことでもある。もし、それをなくしてしまったとしたら、果たしてオレらはなんのために生きているのだろうか? どんな職種にしてもおそらく限界はある。人が手がける以上、ミスだって起こりうる。でも、そこに対して自分のすべてを投げうって立ち向かえるかどうかが、その人間の価値を決めるのではないか、そう東野さんはいっている気がする。

本作の中では医療ミスや、自動車メーカーの部品不良など、今や日常的ともいえてしまう事象が取り上げられている。オレ個人、ミスそのものは責められないと思うし、不具合を100%防ぐことはおそらく不可能だろうと思う。それによって被害を被る人も後をたたないだろうし、それを恨む者も当然出るだろう。だけど、その勤めに全力を傾けていたとすれば、そして起きたことに対する責任をなにかしらの形で示すことができれば、その誠意が見えるのであれば、それを一方的に責め続けることはできないはずである。

常に全力で仕事に取り組み続けることは、すごく難しいことだ。だけど、それをまっとうしてこそはじめて真の職業人といえるのだろう。そこまでしてはじめて対価を得る資格が与えられるのではないだろうか。無数の人と関わっていく以上、働くというのはそれだけ重いことなのだ。

オレ自身、今の職業に対して全力投球はしているつもりだけど、その姿勢ももう一度見直さなくては。誰かに、世の中にメッセージし続けるという使命を背負う以上、誤りや中傷などがあってはならないのだから。

とかなんとかで、ようやく東野作品の全レビューのアップ完了! よーし、新刊いつでもカモン!!
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by april_foop | 2008-01-03 00:00 | 文字
感想/幻夜(単行本)
d0055469_12454686.jpg『白夜行』との続編的関連性が議論を呼んだ作品。東野圭吾『幻夜』読了。なるほど、確かに両者の共通点が多々見られ、その設定は思わず『白夜行』を読み直して見比べたくなるもの。でも、ただ同じパターンで2匹目のドジョウでは決してない、これはこれですばらしい完成度。今作ではあえてW主役の片割れの心理を露出することで、前作以上に読ませる力があるとも言える。謎について半分の答えが用意されているわけだから。でも、プロットの妙をうまく使っているから最後の最後まで惹き付け切って、鮮やかなフィニッシュ。毎度のことながらお手上げです、ホント。東野さんは、締めがメチャクチャ巧いぜ。

さて、続編かどうかは置いといて、2作を比較してみる。『白夜行』はそのほとんどが謎のまま。ゆえに、桐原と雪穂の神秘性がものすごい。結果だけを見ると、2人のやってきたことは、犯罪なのになにか孤高のものにすら見えるという効果があった。それに対して『幻夜』では、裏側の生臭さがはっきりと見える。罪が罪を呼んでいく負の連鎖と、完璧に見える計画の微妙な綻び。そして、美冬の狂った意識の片鱗。猟奇的とすらいえるキャラクター。

だけど、そこにはまだ想像の余韻が残される。美冬は真になにを想い、なにを求めたのか。そこに思いを馳せると必ず、『白夜行』の桐原の姿が思い起こされる。これこそがこの2作の決定的なおもしろさ。完全な続編とはしていないのに、絶対に切り離せない2つの作品。東野さんは、どっちから読んでもいいといってるみたいだけど、『白夜行』→『幻夜』の順に読むことは必須な気がするなぁ。もちろんそれぞれ独立しておもしろいんだけど、1+1を2以上にするなら刊行順でしょー。

史上最強クラスのファム・ファタールによる素晴らしいエンターテインメント作。参りました。
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by april_foop | 2008-01-02 00:00 | 文字
感想/殺人の門(文庫)
d0055469_0312755.jpgこれ、かなり異色本。東野圭吾『殺人の門』読了。田島和幸は裕福な歯科医の息子でありながら、祖母の死を機に家庭は傾き、一家離散のはめに。小学校時代から人生の節目、節目に現れる友人の倉持修。彼に何度も騙され、はめられ、裏切られ、その都度和幸の人生は暗転。和幸は倉持に対して黒い感情を抱き始め…。

主人公がどうにも愚鈍で、辛気くさい話なんだけど、ものすごくいろ〜んな考察ができそうな小説だなー。メインに据えられているのは「殺意」。そして殺意と殺人の間にあるものはなんなのか。何度も人生を大きく狂わされた和幸は、倉持に殺意を抱きながらも実行までには至らない。いや、至れない。やっぱりそこには大きな何かが横たわっているから。それって何? でも、殺人は世間のあちこちで起きている。殺人犯と和幸はなにが違ったのか。殺意が足りなかったのか。

ねずみ講とか、「詐欺」の話もいくつか出てくるけど実在の詐欺事件をモチーフにしてるんですって。エピソード単位と全体プロット単位で「詐欺」を並行させながら、騙す、騙されるの論理を提示しているのも面白い。だって、詐欺事件では騙す方が悪いと思わせながらも、倉持に踊らされた和幸に対しては騙される方が悪いって読者に思わせるんだからね。この辺の心理的矛盾のつき方なんてさすが東野圭吾としかいいようがなく。

「悪意」もまた物語の重要なキーワードになっていながら、倉持の側の描写はないため、その存在は肯定しきれないというのも語れる要素。読むたびにいろんな気付きがありそうな一冊ですわ。でもほんと辛気くさいから楽しくはないんだけどね。でもでも読ませる力はある。

さて、「殺人の門」を開くカギはなんなのか。諦観? 無力感? 絶望? 怒り? 糸を切るものは人それぞれか。本書に明確な回答はないけれど、回答例だけはラストに用意されてたわ。コワイ、コワイ。
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by april_foop | 2007-12-05 00:00 | 文字
感想/ダイイング・アイ(単行本)
d0055469_132833.jpg次から次へと新刊リリースの東野圭吾大先生。最新作『ダイイング・アイ』をあっという間に読了。雨村は、何者かに殺されかけ、一命を取り留めたものの、自身が起こした自動車事故の記憶だけを無くしていた。彼を襲ったのは、その事故の被害者の夫、岸中。そして岸中は自殺してしまった。なにかが腑に落ちない雨村。自身の失った記憶を辿るうちに、事故の不審な点に気付き始めた彼の前に、謎の美女が現れる。その女性の顔は…あの事故の被害者と同じだった。。

さすが今作もあっという間に読ませてしまうスマートな筆致は健在。といってもこれ、8年も前に『週刊宝石』で連載してたものらしいんだけどね。てわけで、どうもその週刊誌イメージが強くって、銀座のホステスとバーテンだの、セックスシーンだの、あんまし必要なくない?っていう設定が微妙に気になってしまったよ。いつになく野暮だけど、『週刊宝石』読者とのマッチングを考えてのことなのか?と深読みしてみたり。

ベースにあるのは、『天使の耳』と似たモチーフで、交通事故は果たしてアンラッキーで片付けられるのかどうかってとこが下敷きに。その上に盛り付けられるのが「眼」。"眼ヂカラ"ってやつですね。これはもう想像の世界でしかないんだけど、眼の持つ威力ってのは神秘的なものがありますなぁ。このあたりの切り口は、東野さんらしいところ。

ただ、最後までイッキ読みはしたものの、期待値よりは面白くありませんでした。ユニバーサルタワーとか、携帯の使い方とか、氏にしてはちーとばかし無茶な展開も気になったし、人物の掘り下げも中途半端。全体的にディテールの甘さが目立った気がします。しかもドラマ『ガリレオ』放映中にリリースというタイミングといい、それとリンクするややオカルト寄りな趣向といい、商業的側面が強すぎるのでは…と、ちょっと作品の本質以外の要素が気になってしまいましたよ。
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by april_foop | 2007-11-24 00:00 | 文字
感想/赤い指(単行本)
d0055469_2322506.gif東野圭吾の直木賞受賞後第一作『赤い指』。『容疑者Xの献身』の流れを汲んだような、ミステリとヒューマンドラマが融合した傑作。ただ面白いだけでは終わらない。なんかの予感があって古本屋に行ったら、まんまと今作が売られてたよ。東野圭吾がオレを呼んでる?w

1冊の中にめちゃくちゃたくさんの社会問題が詰まってるわ。老人介護、嫁姑、教育、いじめ、etc。東野圭吾を読むとダメージ受けるのは、普段目をそらしてたり他人事としてやり過ごしている事象を、もしも自分だったら?という風に突き付けられるから。しかもそれを何かしらの犯罪とからめることで、不可避的極限状態を作り出してて誤魔化しがきかないのよ。すごいわ、ホント。幸いうちの両親は健在だけれど、いつなにが起こるかわからない。考えたくない事だけど、万が一のとき自分に何ができるか、何をすべきか。

ここんとこ、加賀刑事が神の使いかのように何でも解決すんなー、ってなってきた気がするけど、それは事件としての難易度自体は高くないからだよね。今回も計画性のない突発的な事件だから、あっという間に解決できたんでしょう。

ところで、東野圭吾は登場人物に「演じ」させますな。『秘密』だったり『片想い』だったり『ゲームの名は誘拐』だったり演じ方はいろいろだけど、なにかしらの因果を感じたりもする。まだはっきり結論づけられないけど、人間は嘘をつく生き物ってことがいいたいのかな。そして嘘によって時に真実が暴かれる皮肉。作品の枠を超えてなにかそんなテーマを追求しているような気にさせるなー。東野センセーなら、それくらいやりかねないもんね。
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by april_foop | 2007-11-22 00:00 | 文字
感想/さまよう刃(単行本)
d0055469_0594943.jpgこれも重量感たっぷり。東野圭吾『さまよう刃』読了。愛娘を殺された父親。娘をめちゃくちゃにした犯人グループの1人を殺害し、さらに残りの犯人への復讐に向かう父親に、世間からはさまざまな声が聞こえ始める。私刑が強く訴えられてるからか、いつになく宮部みゆきを思わせる。一気読みしちまった。

今作のテーマは「少年法」と「復讐法」。不条理の極致といえる少年犯罪をノンフィクションではないかと思わせるようなリアリティで描き切る。自分も登場人物のひとりになったかのように読み続け、久しぶりに夜更かし読了。これが他人事でも小説の中の世界でもないって人が確実にいる。というか、きっとけっこうたくさん。それを思うと、どうしていいやら。悪に対して悪で制裁を加えてはならない。理屈は簡単だが、遺族がなぜ憤懣を封じ込める苦痛を味わわなくてはならないのか。永遠に答えなんて出やしない。

ヘヴィーなモチーフを小説としてエンターテインメントとして相当のレベルにまとめてるのはさすが。でも起きる事件があまりにも不快でやる瀬ないから、どうしても哀しさが漂い過ぎる。ホントにつらいもん、読んでて。

少年犯罪の最大の要因は想像力のなさだと思う。これをやったら何が起きるのか、誰がどう思うのか、自分はどうなるのか。主犯と、復讐犯にはその点で絶対的な違いがありました。我々が考えなくてはならないのは、多分そこ。私刑の是非ではなく、想像力に欠ける傾向のある現代人をどう変えていくべきか。問いかけ、そして問い続けなくてはならないのはそこだと、ボクは強く思う。

テーマは公開中の映画『ブレイブ ワン』と同じだね。
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by april_foop | 2007-11-13 00:00 | 文字
感想/レイクサイド(文庫)
d0055469_15281316.jpg東野圭吾『レイクサイド』。並木一家は、子供のための4家族合同受験勉強合宿のため湖畔の別荘に向かう。しかしそこに愛人の高階も現れ、動揺する並木。しかしさらに彼を驚かせるできごとが。なんと高階が殺されたのだった。観てないけど映画にもなってんね。特に映画化したい要素は感じなかったけれど。。

ライトなミステリの中に家族間交流を落とし込んだ一作。なんだけれど、登場人物の誰にもいまひとつ共感できず。身勝手な大人ばかりが目についてしまって、あんまいい気持ちしなかったね。というのも、この本は、内面的要素が一切描写されないという『白夜行』方式だから。全編、実際の行動と会話のみで綴られるので、読み手は完全に客観的な事実だけを受け取る。内面的なものはすべては想像するのみ。本当はいろいろ葛藤が合った末の行動なのかもしれないけれど、起きた事象だけを見るとこんなにも馬鹿げてるのか、と気付かされる。現実は小説のように、人の考えが表面化してこない。知らない人のやることってホント理解不能なんだなー、ってね。

最後に残す余韻はさすが。社会派ミステリとして後味のいい作品ではないし大作の間でどうしても小粒感は否めないけど、その分、軽く読めるのは確かだね。
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by april_foop | 2007-11-11 00:00 | 文字