感想/明日への遺言(試写)
d0055469_1171731.jpg男の生き様とはかくあるべし! 『明日への遺言』3月1日公開。B級戦犯として、連合国の裁判にかけられる岡田資中将。彼は無差別爆撃を行った米兵を、正式な裁判を経ずに処刑したことを罪に問われていた。しかし岡田はいう。「無差別爆撃は違法ゆえに処罰した。この判断の責任は指揮官であった自分にのみある」。米人裁判官、検察官、弁護士と、同じく起訴された部下たち。岡田の生き様は何を残すのか。
明日への遺言

重厚なほどに迫る、岡田中将の信念。物語の背景は確かに戦争であり、反戦というのはもちろん大前提にある。しかしそれ以上に訴えかけてくるのは、人としての生き方のこと。岡田は、戦中の混乱の最中に規律をもってその判断を下し、戦争が終わり明らかに時代が変わった後でなお、その責任を全うしきった。ブレることのないその生き方は、空気ばかりを読もうとする現代人に突き刺さるのでは。

ノンフィクションベースの裁判劇は、その徹底した長回しとあわせてただひたすらリアリティをもって観客を捉え、そして離さない。岡田は、変わらずに貫くことで、周りの者を揺らしていく。岡田は身を以て伝える。アメリカ人には戦争の愚かさと、国を背負って戦ってきた日本人として、軍人としての誇りを。部下たちには自らの行為の本質的な意味を。そして家族には父親としての記憶を。岡田の姿を見ることで、処刑に手を下した若き日本兵卒が自らの罪と向き合おうとするシーンには心震えました。

自分の言動を振り返り、居住まいを正したくなる清廉なる映画。否定のしようのない、この強さはぜひ触れてみてほしいです。

d0055469_0242164.jpg同じく小泉監督の『博士の愛した数式』を遅ればせながらDVD鑑賞。原作は読んでないけど小川洋子さんの超美しい文章が脳裏に浮かぶような作品。例え忘れ去られる記憶だとしても、そこに永遠は宿りうる。だからこそ一瞬を、1つの数字を、1つの出会いを大切に愛していこう、というメッセージをやさしく浮かべてました。限りある記憶のメタファーとして、形ある数字にスポットを当て、しかしそれは並べ方や組み合わせで無限の美しい世界にもなる、ってことを説いてるのは原作の本質なのかな。数字は、数式になり数理があり、その先には宇宙があると。

決して忘れられない過去の過ちを1人見続けなくてはならない浅丘ルリ子が痛ましく、その皮肉な運命がまた物語を重層的にしてたわ。オイラーの等式が全然わからず、80分の記憶のサイクルも理解できず、ルートが10歳より幼く見えたけど、まあいいか。
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by april_foop | 2008-01-27 00:00 | 映像
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