感想/ミスター・ロンリー(試写)
d0055469_33414.jpgうわ〜、予想と違ったな! 『ミスター・ロンリー』2月2日公開。マイケル・ジャクソンとしてしか生きられない男は、パリでマリリン・モンローに成り切る女性と出会った。彼女にいざなわれたのは、同じように自分ではない誰かとして生きる人たちが暮らすスコットランドの山奥にあるコミュニティ。彼らは、自ら劇場を作り、"地上最大のショー"を開こうとしていた。
映画『MISTER LONELY ミスター・ロンリー』公式サイト

マイケルとマリリンのちょっとファンタジックなかわいらしいラブストーリーを想像していたら、全然違ったわ。それどころか、本筋とまったく交差しないストーリーが段階的に挿入されてて、難解系といえる仕上がり。自分自身を生きられない、マイノリティの哀しさをベースにシュールな世界が展開されます。でも、嫌いじゃないぜ、こういうムード。

直接的なメッセージはほとんどなく、それと思わせるようなセリフも最後に少し出てくるだけ。彼らは、借り物の人生を生きる。それは社会的には不適応者であり、なにかが欠落しているといわざるを得ない。だけど、彼らはあくまで純粋だ。彼らなりにまっすぐ進んだ先が人里離れた山奥だったというだけで。だとするとなにがいけないのだろうか? マリリンは、マイケルにいう。「私には人生が苦しかったけど、あなたは諦めずに探し続けて」。同志である2人にも、また別の道がある。借り物の人生は決して仮初めの生き方ではないんだから。

さて、別展開するシスターたちの奇跡。このメタファーをどう解釈すべきか。プレスシートには純粋性と社会性の対立とある。そういうことなのかもしれない。オレが感じたのは、単純に一寸先は闇。その先の人生にどんな奇跡や破滅が待ち受けるかは誰にもわからない。ならば、自分の信じる道を行くしかないのでは。

この作品のいいところは、マイノリティを変に擁護したり甘やかしたりせず、かといって蔑むわけでもなく、社会不適応は不適応として描くところ。作家性が強いし、ややペシミスティックに過ぎる気はするものの、不思議な浮遊感と、それでいて質量を感じさせる作品でした。
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by april_foop | 2008-01-07 00:00 | 映像
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