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感想/陰日向に咲く(試写)
感想/陰日向に咲く(試写)_d0055469_9113462.jpgやばい(いや、やばくない)、泣けた! 『陰日向に咲く』1月26日公開。バス運転手の男。ギャンブルで借金を重ね、ついにオレオレ詐欺に手を染める。彼が浅草で出逢った女。かつて漫才コンビを組んでいた母の思い出を探す。秋葉でイベントをするがけっぷちアイドル。集まったファンはたったの3人だった。公園のホームレス。新入りがモーセと呼ぶ男には、プロ野球選手になった息子がいた。
映画「陰日向に咲く」公式サイト

まず謝ります。ボク、原作を読んだとき、映画はちょっと滑りそうだな、って思ってたの。そこにも書いたように、人々のささいな日常をサラっと描いていたから。でも大外れ。すごく良かった! カラっとした原作の行間に秘められていた市井の人々の想いを、これだけきっちり汲み取って仕上げてくれたなんて嬉しい驚き!! これこそ原作→映像化のあるべき形のひとつといってもよいのではないでしょうか。

登場人物を絞ったり、原作の設定を一部アレンジしているので、状況としてはだいぶ窮屈になったし、それによって群像劇の繋ぎ方がわざとらしい、と思ったのは確か。だけれど、そんなことも最後の最後にはまったく気になりません。なぜならそれ以上のエモーションを各キャストがしっかりと表現してくれたから。

西田さん、三浦さんはもう鉄板で、それぞれのキャラクターが歩んだできた"思い通りにならない人生"を滲ませてくれます。塚本君と平山あやは、誰もが経験する"どうにもできない間の悪さ"を等身大に感じさせてくれます(個人的にこのエピソードが好きなんだなー)。宮崎あおいは、相変わらず愛らしく健気に"人を想うこと"を見せ、とどめは岡准! キレと泣きの両ベクトルを目一杯演じてくれて、"大切な人のために"ある熱さに完全にヤラれましたとも。いやー良かった。

あまり期待していなかったとはいえ、いい作品に仕上がってました。話題性はもちろんだしょうが、それに負けない中身のある良作。ツウ好みではないものの、ミーハーを敬遠したりせずぜひお楽しみあれ。きっと感動できるはず。
by april_foop | 2007-12-12 00:00 | 映像
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