感想/再会の街で(試写)
d0055469_023335.jpg心から涙。絶対に観なきゃダメだ! 『再会の街で』12月22日公開。歯科医アランは学生時代のルームメイトだったチャーリーと再会する。しかし彼は働きもせずゲームや家のリフォームに明け暮れ、ヘッドフォンを外すこともない。心を閉ざし変わり果てたその姿は、あの悲劇によって妻と3人の娘を一瞬で失ってからだった。
再会の街で - オフィシャルサイト

なんて温かく、そして力強い傑作! 喪失の物語であり、愛する人を失くした悲しみがあふれながらも、その奥に深い深い人間愛が流れていて、完璧に泣かされたよ。決しておセンチに走っているわけではなく、徹底してリアルに、丁寧に丹念に描写。舞台は「9.11後」という括られ方だけど、なにもそれに限ったことではない。話自体は1人の男とその友人の周辺というすごくパーソナルなものながらそれは、大切な人を持つ地球上のすべての人にあてはまる物語。

原題は『Reign Over Me』。その名の通り、映画の大半は支配されている。逃げ場のない圧倒的な絶望と哀しみに。だけどその裏には実は"Love"が隠されている。このタイトル、『Love,Reign O'er Me』っていうThe whoの楽曲からきてるんだそうで(劇中にも使用)、映画も最終的にはスクリーンいっぱい悲しみを超えた"愛"で覆いつくされるんだわ。チャーリーの中であふれ続ける愛情、そんな彼を見守るアランの友情、そして彼らの周辺の人物もまた、それぞれのかけがえのない人への愛を持っている。

ラスト近く、「孫が見たら喜んだでしょうに」「たかがキッチンさ」という義父母の会話。これこそがチャーリーが暗闇と孤独の中で無限に繰り返していた自問自答。"「分かち合え」なかった"、という直前のフレーズがここに集約されてて、このワンシーンだけでもチャーリーが抱え続けた終わりなき哀しみがあふれだすよう。このラストが象徴するように、映画の最初から最後まで描かれるすべてが一点を向いているブレのなさは圧巻。それによってシーンの裏にあるだろう情景を思い起こさせ、並々ならぬ感動を与えるのです。アダム・サンドラー、ドン・チードルともそれに2000%応える演技でチャーリー以外の、アランやアンジェラ、ドナの物語もすばらしく有機的に機能しておりました。

音楽、映像、演技、物語、どれもが最高レベル。決して重いばかりではなく、間延びもせずに深く深く掘り下げられた、タイトルまで含めた重層的な作りは脱帽というほかなし。家族と友情を支える深い深い深い普遍の愛の物語。見逃し厳禁、全力で必見の1本!! ああ、もう一回観たい!

<12/17追記>
本作のテーマのひとつ、傷が癒されることはなくとも、共有することでわずかな救いになりうる、ってことは
『あなたになら言える秘密のこと』でも感じたことでしたわ。今思い出しても泣けるぜ。
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by april_foop | 2007-11-15 00:00 | 映像
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