個人、団体、国家、それぞれの義。『サルバドールの朝』9月22日公開。1970年初頭スペイン。青年サルバドールは時のフランコ独裁政権への反対運動組織MILに参加。労働階級の救済と活動維持のために銀行強盗などをくり返すが、ついに警察に囚われる。その際サルバドールの放った銃弾により警察官が死亡。彼は死刑を求刑される。
サルバドールの朝 重苦しいのだけれど目を逸らせないんだよなぁ。活動家としてのサルバドールを回想する前半、彼は軽率さのある若き活動家。現代から見るとちょっと考えられない行動を傍観するのみだけど、当時のスペインでは決して珍しくもないという。でもここまではサルバドールの一面。投獄されてから彼の本当の姿が浮かびあがる。 家族を想い、冷静に自身を見つめ、そして運命を受け入れていく。その姿は盲目的に理想に燃え、いたずらに血気盛んな活動家とは一線を画すように見えて、しだいに傍観者だったうちらの心を揺らしていく。ハイライトは父への手紙。看守の心も動かした彼の想いが観客にも突き刺さるはず。 サルバドールの行動は正義と呼べるものではないだろう。でありながらも、信念を貫いた一人の青年が善悪とは別の何か大きなものによって葬られようとしているという現実に、奇跡を祈らずにはいられないラスト30分。歴史のひずみに呑まれそうな命というリアルに、人が人を裁く虚しさをつきつけられるのと、そこにおいてなお信念を曲げずに自らの責任と向き合うオトコ。この両者はすごく見応えあるなぁ! ダークな映像含めてやっぱり重苦しいけれど、「正義とはなにか」を問いかける作品。心持ちを定めてご観賞あれ。 同じく死刑モチーフで『デッドマン・ウォーキング』をDVDにて。こちらは「人が人を殺すこと」についてのメッセージ。ひたすらストレートに人を殺すことがどういうことなのか、殺す側と殺される側から描き、第三者視点を交えて、ある意味で殺人とイコールでもある「死刑」について問いかける。ショーン・ペンの色気がすごくて、オスカー女優のスーザン・サランドンの素直な反応もお見事。娯楽とは対極にあるけど、観て損はない一作。
by april_foop
| 2007-08-23 00:00
| 映像
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