感想/秘密(文庫、DVD)
d0055469_2326368.gif東野圭吾の不思議系ファンタジー『秘密』も東野マジックで、単なる夢物語にはいたしませぬ。妻娘がバス転落事故に巻き込まれ、妻が死亡、娘が意識不明の重体。やがてめざめた娘には妻の意識が宿っていたのだった。

この作品が良かったのって、12〜18歳という長期間をたっぷり描いたところだと思うの。18歳だけ、とかでも話自体は成立する(実際映画はそうだし)ところを、これだけ長くした事で夫の煩悶と娘妻の生き方の変容がリアルに描かれました。もちろんラストの落としどころにも直結するし。何を失って何が残ったのか。中盤までどうもモヤモヤするなぁって思いながら読んでたけど、それはまさしく夫が感じてたものだろーね。

ラストの決断と"秘密"が真骨頂なのだろうけど、真実は直子にしかわからない。ハッピーエンド風に見せつつも、物語はまだまだ続くんだなぁと思わせる不思議な余韻。『冷静と情熱のあいだ』ばりに、直子サイドの心境が読みたい! この頃以降の東野圭吾の作品は、魅力的なキャラが多くて、スピンオフしてほしいなぁ、とすごく思います。

d0055469_23264887.gif映画は、18歳〜大学生活に絞りつつ、駆け足で原作の内容をパッケージした感じ。どうも平助と直子の感情の揺れ幅をしっかり落とし込めてなかった印象。説明的にならないようにしなきゃ!って思い過ぎたのでは。もっとエピソードを端折っていいから、人間ドラマを徹底的に掘り下げてほしかったかも。

余談ですが、ミステリ作家としてやってきた東野圭吾が本格的にキたのがこの本くらいらしいけど、それが非ミステリってことに因果を感じるねぇ。ジャンルにこだわらず徹底して人間を描き続けた結果ってことだな。うんうん。
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by april_foop | 2007-02-11 00:00 | 文字
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