東野圭吾作品ほぼコンプリート!(※1)を記念して、フープ版「この東野圭吾がすごい!」発表。多少の前後はあるものの概ね刊行順に読了しますた。前中期は友人に貸し出してもらいつつ(※2)、最近作はちらほら買いつつ。では、簡単にランクイン作品について。
『容疑者xの献身』は現時点での東野ワールドの集大成だと思う。ミステリを舞台装置にして、究極的な人間心理を描き出すパターンの頂点。最近作は社会問題を多く孕んだサスペンスものが多い中、今作では人間の深い情愛が描かれ、ものすごい刺さりました。 『天空の蜂』はテーマ性が猛烈に響いたのと、その破綻なきテクニカルなプロットに脱帽。『白夜行』は、こんな小説読んだ事ない! な世界に魅せられて。『手紙』はキレイゴトを排除した著者の主張に共感。最新作『使命と魂のリミット』は、職業人としての正義感のようなものを見せつけてくれて感動。『天空の蜂』方式のプロットももろ好み。 『変身』と『パラレルワールド・ラブストーリー』は極上のSFエンタテインメント作。『パラレル〜』は初めて読んだ東野作品でもあり思い出深いです。『幻夜』は『白夜行』ありきだけど、同じようにハマり、同じように見事なラストの締めくくりにヤラれたわ。『宿命』は初〜中期の傑作。『どちらかが彼女を殺した』はその仕掛け上、何度も読み返させられました。 ランク外でも『ブルータスの心臓』『赤い指』『悪意』『さまよう刃』『秘密』『片想い』『殺人の門』『天使の耳』『私が彼を殺した』とか、読む価値ありあり。やっぱり圧倒的に後期の作品のほうが充実してますな。 東野大先生のすごいところは、自身の哲学を完璧に本に叩き込んでくるところ。人の考えってのは、出会った人、起きた事、時間の経過で刻々と変わるものだろうけど、著者の作品では常にその時点での妥協レスな結論が落とし込まれる。ミステリやサスペンスという舞台の中、ある種の極限状態を生み出すことで、より明確に主張を投げ掛けてくる。そのいちいちが痛烈に的を射てる上、エンターテインメントとして超ハイレベルに完成されてるんだから、お手上げでしょ。しかも常に時事性あり、挑戦あり、でまったく飽きさせない。思うにこの人、小説に込めた提案をすべて体現していそうな気がする。そんな覚悟や潔さまで感じさせるよ。 今後もハイペースでリリースしてくれそうですが、ついてきまっせ。当面は書き上げてないレビューの消化に励みます。 いやー、どの東野圭吾もすごい! ※1 『黒笑小説』以外の全小説。エッセイにあたるものは未読 ※2 Special thanks to yhey!!
by april_foop
| 2006-12-24 00:00
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