感想/硫黄島からの手紙(試写)
d0055469_0455584.jpgイーストウッド監督作、衝撃の二部作後編『硫黄島からの手紙』12月9日公開。日本側の視点で描かれた硫黄島は、熾烈極まる戦いとそこで散っていった兵士たちの物語。あらゆる意味で歴史的作品。
父親たちの星条旗|硫黄島からの手紙

同じ舞台で、日米どっちの視点も「個と全」という切り口なのにこんなにも性質が違うとは…。孤島での負け戦、すなわち死そのものに臨まなくてはならない兵士たちの想いを群像劇として描く。最初から最後まで戦闘シーンは凄惨の極み。だからこそ、瞬間のリアルが強烈に伝わり、感傷を挟んでるひまなんてまったくない。それは多分、戦場で兵士たちが体感するのと同種の感覚(もちろん同じだなんてとても言えない)。

自らの信念を貫く中尉、残して来た妻子を憂う青年、正義の指針に揺れる元憲兵、国際人としての誇りを抱く士官、そして侍の心を持つ男。そのすべてが圧倒的なリアリティで描かれる。このメンタリティを、アメリカ人監督が撮り切った事は驚異的としか言いようがない。

圧倒的なまでの迫力を支えたのは最高のキャスティング。渡辺謙は言うまでもなく、伊原剛志、加瀬君もサスガの存在感。中村獅童もプライベートはさておき、やっぱ一級品。でもとどめはニノにつきる。メリハリのある最高の演技を披露。イーストウッドが絶賛したというのも大納得のベストアクト。

二部作だけど、それぞれがものすごい完成度なので1本だけでも凄まじいパンチ力。もちろん2作合わせた方がなお意義深いのは確実(順不同)。ただし娯楽性は皆無。相応の覚悟をもって観ないと返り討ちに合うよ。そんな超絶ヘヴィー級だけど、観ておくべき作品でした。平和と命がいかに尊いものか。それを焼き付けるために。

死以外に選ぶものがなかった硫黄島を観て、それでもなお自ら命を絶とうと思えるんだろうか。
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by april_foop | 2006-11-15 00:00 | 映像
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