東野圭吾の『むかし僕が死んだ家』。一風変わった余韻を残しますな。
かつての恋人・沙也加から頼まれたのは、リゾート地に建てられたとある家に一緒に行くこと。そこには彼女の欠落した幼時の記憶に繋がる何かがあるかもしれないという。訪れた家に残された不可解な点をたどり、やがて2人は沙也加の過去にまつわる予想だにしない真実にたどりつく。 終始、僕の目線で語られる登場人物ほぼ2人の異色ミステリ。過去を探るヒントを見つけながらさまざまな推測を紡いでいく。過去のことだし、証言者もいないから、すべては物証をもとに組み立てた仮設の範囲なんだけど、説得力はあり。ほんのりサブテーマに幼児虐待。このへんの社会ネタを混ぜ込む手腕は巧み。といってもあくまでサブだから掘り下げられてないけど。 問題はプロローグとエピローグの存在! 氏にしては珍しくメタファーじみた物言いで、読者が物語に強制参加させられる。ミステリ自体は他人事だったのに、この最初と最後のチャプターが物語にまったく異質な意味を持たせます。ミステリ自体はふ〜んて感じだけど、これを読むだけでも価値あるかもよ? なかなか興味深い一作です。
by april_foop
| 2006-08-02 00:00
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